アンバランス?
2月 15, 2016 11:27 am
「アンバランス…」
体のどこかに痛みが出たり、ある部分の動きが悪くなる原因として、よく「姿勢が悪くなったから」、「バランスが悪くなったから」と、治療者や一般の方でも言われることがあります。
いわゆる「アンバランス」になったと言うことだと思います。
(専門用語では、インバランス、マルアライメントなどと言うことが多いですが…)
ですがこれは、実際はバランスが悪くなってしまったのではなく、ある部分に集中的に負担がかかってしまうバランスの取り方を覚えてしまっただけです。
しかも身体や脳としてはそれなりに前向きな理由で。
なんとなく背中が丸くなってしまったり、肩こりや腰痛などが出てくると、「姿勢が悪くなったからだ!」「バランスが悪くなったからだ!」と言いたくなりますが、体の中では、色々な部分が、色々な方向に、色々な意味を持った力を働かせてバランスを取っています。
人間は、昆虫のように体の外に殻((外)骨格)がなく、肉の中に骨((内)骨格)があって、体を支えたり、つなげたりする「芯」があるので、とりあえずは体がバラバラにならない方向に、各部分(腕、脚、頭、胴体…など)を引き寄せて、まとまる力が必要になります。
さらに、このマッチ棒(骨)を輪ゴム(筋肉・靭帯…など)で止めたようにつながっている体を、積み木が倒れないように積み上げておく力も必要になります。
そして、この状態を保ちつつ、動いたり歩いたりしても倒れないように立ち直ったり、さらにはその時々の目的に合わせて、様々なバリエーションのある動きにも対応する、その場面・目的に合わせた切り替えができる力も必要となります。
これだけのことをしているので、一通りの日常生活ができて、さらには仕事などもできているのであれば、「バランスがわるい」なんてことはありません。
姿勢などの見た目が気になったり、痛みなどの症状が出ていても、これだけ緻密で繊細なことを巧みに操っているのです。
ですので、これだけのことができているので「バランスがわるい」はずがありません。
ただ、何が違ってくるのかと言えば、これだけ多くのことを全身的に均等にまんべんなく常に使っているのは「面倒くさい」、
あるいは、体を大きく動かすことが少なく、あまり動かない作業が生活の中心で(例えば、パソコン仕事、職人仕事、炊事などの家事…など)、そこまでダイナミックな動きは必要ない、むしろ体が動かないで「ブレない方が都合がよい」
と、脳が判断した際には、使いやすいところはより積極的に使い、あまり目的に直接関係なさそうに感じたところや、つっかえ棒のように支えておいて欲しいところは、固めて動かないようにしてしまいます。
ですので、様々な問題の原因として思い込みがちな「バランス(姿勢)がわるくなった」という状態は、実際にバランスが悪くなっているのではなく、わざわざ使わなくなった部分のしわ寄せが、使いやすい部分をより多く使うように学習した結果であったり、支えの頼りにしすぎた結果であるという、わざわざそうした(目的のある)結果であることがほとんどです。
これを考えれば色々な症状の改善のためには、普段使わなくなっている部分の「動きやすさ」「働きやすさ」を調整して活動を促し、痛みや動きにくさなどの症状が出ている普段使いやすい部分の負担を減らしてあげることが、遠回りなようで近道になることがほとんどです。
そして、このような状態が体の本質的な問題であることがほとんどです。
もしあなたが、痛みがあるところ、動きにくいところばかり気にしているのであれば、普段何も気にならないような部分にも少し目を向けて、「動き方はどうかな?」とか「動いている部分を感じられるかな?」などとご自分の体を探ってみると変化がみられることがあるかもしれません。
やっぱり人は気に留められると、意識して動き出すものですからね。

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