「腹筋」を鍛えた方がよい、という‟ウソ”!
6月 27, 2016 11:33 am
なんとなく、いつまでもしっかりしていてほしいと思うものの1つに、「腹筋」は、当てはまるのではないでしょうか?
そして、ほとんどの方は、自分の「腹筋」は弱くなってしまったと思っているのではないでしょうか?
「腹筋」(ついでに背筋も)を鍛えることが、「腰痛予防」「姿勢の改善」に効果があるというのは、一般常識的になっていると感じます。
ですが、これは大きな落とし穴です!!
腰痛に悩むあなたは、一度くらい、「腹筋・背筋」エクササイズを試したことがあるではないでしょうか?そ
そして、その効果は大してなかったか、逆に、余計に痛めてしまった、という経験があるのではないでしょうか?
脳卒中の後遺症がある方は、体の支えをもっとしっかりさせたくて、腹筋に力が入るような運動を続けてみたら、余計に動きにくくなってしまったことはありませんか?
事実から申し上げますと、ほとんどの人は、「腹筋がガチガチ」です。
「私は弱いから、、」「最近おなかのハリがなくなってきたから、、」という人ほど、ガチガチです!
そんなまさか?
と思う方がほとんどでしょうが、腹部(おなか)周りの捻じれをとって、腹筋の本来のしっかりした方向と長さに戻してあげると、「こんなにも!」と思うほど、硬くなった腹筋が姿を現します。
肋骨と骨盤の間の「おなか(腹部)」は、腰の背骨(腰椎)以外、骨として支えるものがありません。
この体の中心である部分を、腹筋と背筋の(実際はもっと複雑な力関係で)絶妙な力関係で支え、バランスもとらなければなりません。
さらには、生きるためにしっかり守らなければならない「内臓」も、おなかで包んで保護しなければなりません。
ですので、しなやかに柔軟に、背筋と絶妙なバランスを取って支えをつくるよりは、「ぞうきん」のように、捻じりしぼって「芯(しん)」を作るように、固めてしまった方が都合がよいのでしょう。
また、他の動物のように、大事な内臓をおなか側に垂れ下げて、お腹側で支えているより、厚い背筋のある背中側に押し込んでいる方が、安心感もあるのでしょう。
(人間は立っているので、大事な内臓は前に向いてしまうので、、)
それに、動物もいざ敵に襲われた時には、リラックスした時よりも背中を丸めて、内臓などの臓器を守っているようにも見えますから。
ですが、この常に力が入ったままの強くなった腹筋が、その力を受けなければならなくなった腰や背中、あるいは首、肩などに負担をかけることになります。
また腹筋からの捻じりつけられた力で、骨盤周りの動きも制限されるため、そのしわ寄せが、股関節、膝関節の痛みになることも珍しくありません。
脳卒中の方は、後遺症で不安定になっている体の支えを「捻じれ」で補強するため(特に腹部は筋肉の支えが中心となるため)、体の硬さは手に入るものの、バランスの切り替えは極端に取りにくくなります。
特に、このときの強くなった腹筋は、
「アウターマッスル」と言われる、表面側の筋肉が中心で、筋力としても強く固める力も強いのですがバテやすくもあります。
よく聞く「インナーマッスル」という深部の筋肉は、力としてはそれほど強くないのですが、スタミナがありバテにくく、しなやかなバランス・姿勢をとるためには欠かせない筋肉です。
ですが、「アウターマッスル」が強く硬く支える役割を引き受けてしまうと、「インナーマッスル」は、自分より強固な頼りがいのある「アウターマッスル」に、姿勢を整える役割をまかせてしまいます。
(「アウターマッスル」の中で縮まって筋肉の長さが短くなり、「インナーマッスル」自体が働きにくくなることもありますが、、)
ですので、この硬く強くなった「おなかの力」「アウターマッスル」をゆるめてあげることが、しっかりとした「インナーマッスル」の働きを引き出してあげることにもなります。
(「インナーマッスル」は、使いやすい位置関係に戻ると、勝手に(自動的に)働きだします!)
ですので、「体の不調を改善したい」「体の動きをよくしたい」という場合には、「腹筋」をゆるめてあげることが先決ですし、ご自分でおなかをマッサージしてあげるだけでも、体が軽くなる方は多いと思います。
腹筋が柔らかくしなやかになることで、その中にある内臓にはゆったりした動きやすいスペースができ、大きな血管、リンパなどの流れにも余裕が生まれます。
当院での治療後、お通じなどのおなかの調子がよくなる方や、足のむくみが減ったという方も少なくないので、
女性の方は特に試す価値はあると思いますよ。

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